
【修正:2019年2月15日】
オマチです。
最近、錦織圭選手や大坂なおみ選手の大活躍のおかげで日本でもテニスが大人気ですね!
特に、今年の全豪オープンでは錦織選手は故障明けからのベスト8、大坂なおみ選手は昨年の全米オープンにつづくグランドスラム優勝とすばらしい結果でした。
大坂なおみ選手は同時に世界ランキング1位にもなりました! すばらしいの一言です!
一方で、錦織選手については、見事カムバックを果たしたものの、以前から気になっていることが一つあります。
それは、錦織選手がいまだにグランドスラムはおろか、それよりもグレードが下のマスターズの大会でも優勝できていない、勝てていないということです。
年齢的にも錦織選手は今年29歳になりますし、そろそろ今年あたりに勝っておかないと、どんどん下の世代が迫ってきていますのでタイトルを取るのは苦しくなってしまいます。
既に、ランキングで言えば、世界3位に年下のズべレフ(21歳)が入っており、そのズべレフは昨年のATPツアーファイナル(その年のランキング上位8人による戦い)決勝でジョコビッチに勝利して優勝までしています。
そこで本題にもどりますが、
錦織はなぜグランドスラムはおろかマスターズでも勝てないのか?
それについて、まずはグランドスラムとは?マスターズとは?から書いていきたいと思います。
グランドスラムとマスターズの違いについて
グランドスラムとは
グランドスラムは全豪オープン、全仏オープン、全英(ウィンブルドン)、全米オープンの四大大会のことを言います。
それぞれ、コートのサーフェスに違いがあり、
全豪オープンと全米オープンは「ハードコート」で非常に展開のはやいテニスになりますし、ウィンブルドンは「芝のコート」でスピードがはやいことに加え、滑りやすいのが特徴となります。
逆に、全仏オープンは「赤土のコート」でラリーがつづく展開の遅いテニスとなります。
セット数については、グランドスラムは男子は5セットマッチ、女子は3セットマッチとなっています。
なお、セットカウントが2-2になり、ファイナルセットに突入すると、通常の大会で適用される7ポイント先取のタイブレーク制ではなく、どちらかが2ゲーム連取しないことには決着がつきません。(※)
※全豪オープンについては、今年からファイナルセットは10ポイントのタイブレーク制に変更
それで思い出すのが、2010年のウィンブルドン選手権男子シングルス1回戦。
第23シードのジョン・アイズナー(当時25歳、米国)と、世界ランク148位のニコラ・マウー(当時28歳、フランス)の一戦です。
試合時間は11時間5分、3日間にわたる大激戦。
6-4、3-6、7-6(3)、6-7(7)、で迎えたファイナルセットはなんと70-68でアイズナーが歴史的な勝利を手に入れました。こんな試合もあるんですね。
しかも二週間にもわたる非常にタフな大会で、優勝するためには7試合連続で勝たなければいけないのです。
技術面や戦術面はもちろんのこと、メンタル面や体力面でのタフさが求められますし、世界ランクが高い上位シード選手でも1回戦から戦わなければなりません。
基本的には世界ランク上位の選手は全員出場してきますから、それらの選手を何人も倒して初めて優勝できるという極めて難しい大会です。
なお、獲得ポイント(このポイントの過去1年間の累計で世界ランキングが決定されます)は優勝すると3000ポイントですので、グランドスラム大会のうち一つでも優勝すると、ほとんどの場合はTOP10入りすることができます。
ちなみに優勝賞金は、各大会および男子と女子、シングルスとダブルスでそれぞれ違いますが、男子のシングルスで優勝すると約3~4億円の賞金がもらえます。
我々日本のサラリーマンの生涯賃金と同じか、それよりも多いくらいです(苦笑)
マスターズとは
マスターズは、男子で言うとATPツアー大会のグランドスラムにつぐ大きな大会です。
この大会(年間で9大会あります)で優勝すると1000ポイント獲得できるためトップ選手のほとんどが参加します。
しかしながら、グランドスラムより出場選手は少ないですし、上位選手でもマスターズを回避するケースもあり、男子でも3セットマッチ、しかもシード選手は2回戦からですので、
当たり前ですが、他のATP500や250(優勝ポイントがそれぞれ500ポイント、250ポイントという意味)の大会よりは優勝するのは難しいですが、グランドスラムよりはいろんな面でハードルが下がります。
錦織は過去、全米オープンの決勝まで進出したことがありますので(その時は準々決勝でジョコビッチに勝利したものの、マリン・チリッチに完敗して準優勝に終わりました)、グランドスラムはもちろんマスターズで優勝していても不思議はないはず。
それなのになぜ錦織は勝てないのか?
「BIG4」と呼ばれる選手たち
今、BIG 4と呼ばれている選手達は、フェデラー、ナダル、ジョコビッチ、マレーの4選手です。
彼らはマスターズはもちろんグランドスラムでも1度ならず複数回優勝しています。
特に、フェデラーは20回、ナダルは16回、ジョコビッチは15回もグランドスラムを制しています。
(ちなみにフェデラーより前は、ピート・サンプラスの14回でした)
そして四大大会全てで優勝、つまりキャリアグランドスラムを達成しています。
また、フェデラーはウィンブルドン、ナダルは全仏オープン、ジョコビッチは全豪オープンをそれぞれ7回も優勝しているのです。
まさに「伝説の選手(レジェンド)」たちです。
そういった選手たちが同じ時代にプレーし、しかもまだ現役で活躍しているというのは奇跡以外のなにものでもないでしょう。
そういう意味では、 マレーは 悲願だった母国開催のウィンブルドンを2回制し、世界1位にもなってはいますが、他の3選手とはすこし実績的には劣ります。
また、長期離脱の影響で現在ランキングを大きくさげており、故障を理由として今年に引退するとの発表を行っています。これについては非常に残念に思っています。
錦織とBIG4との違い
錦織は、過去にいろんな大会でBIG4と戦い、勝利をあげています。
もちろん対戦成績では大きく負け越していますが、グランドスラム(全米オープン)でもジョコビッチに勝利したことがあるわけです。
それでも未だにマスターズでも優勝できていません。その理由を以下で説明します。
フリーポイントの差
フリーポイントとは、つまりエースのことです。
自分が放ったショットに対して、相手がボールにさわることができなかったポイントのこと。
一番分かりやすいのは「サービスエース」ですね。
テニスファンの方なら既にご存知のとおり、錦織選手はサービスエースの数が他のBIG4と比べると、とても少ないのです。
要するに「サービスが弱点である」ということです。
錦織選手とは違って、BIG4は、ここぞというポイントでサービスエースを決めてきます。
サービスエースが取れるので、自分のサービスゲームのキープ率は高くなります。もし相手にブレークされそうな劣勢になってもキープすることができたりします。
一方で、錦織はサービスエースが取れず、セカンドサービスのスピードも遅いことからブレークされてしまい、自分のサービスゲームを落としてしまうことが上位選手の中では多いです。
また、サービスエースが取れないのでラリーになり、体力を使うので、連戦になると体力的に厳しくなるか、もしくは故障が発生するという悪循環にはまります。
昔に比べれば、錦織選手のサービスは随分改善したと思いますし、体も強くなっているとは思いますが、依然として歴然とした差があります。
BIG 4は軽く200km超のファーストサーブをセンターにワイドにボディに打ち分けて、大事なポイントをサービス1本で切り抜けます。
ここが錦織とは大きく違う点であることは間違いありません。
錦織が200km超のサーブを打つことは残念ながらほぼありません(できません)から。
なぜ、もっと早いサービスが打てないのか
これは正直なところ疑問です。
錦織の身長は178cmです。
他の海外のトップ選手は185cm以上だったりするので、体格的に不利なのは間違いありませんが、170cm台の選手でも錦織より早いサービスを打つ選手はたくさんいます。
日本のその他の男子選手(当然、錦織選手より世界ランキングはかなり下になりますが)よりも、錦織選手のサービスのスピードは遅いです。ダニエル太郎選手や西岡良仁選手の方が速いです。
一体どうすれば良いのか、なぜ今より早いサービスが打てないのか?
これについては私も全く分かりません。
タラレバではありますが、もし、あと数センチでも錦織選手の身長が高かったら歴史も大きく変わっていたに違いないと私は思っています。
そんな中で、フリーポイント(サービスエース)が取れる選手と互角に戦えるというのは、逆にストローク力が凄いことの証左でもあります。
そういう意味では、錦織圭はやはり「天才」であることに間違いないのですが。
今後、どうすればいいのか
それは本人やマイケル・チャン、ダンテ・ボッティーニらコーチ陣が一番よく分かっているはず。
素人が言うことではないのでしょうが、サービスについては、これ以上の大きな改善は見込めない気がしますので、せめて体力面で決勝まで力尽きず戦えるようにすることかなと思います。
サービスのせいもありますが、錦織選手はファーストセットを落とす試合が多いです。
よく、錦織選手はファイナルセットでの勝率が高い!と言われていますが、それだけファイナルセットまで戦って体力的に消耗しているケースが多い、というのと同じ意味でもあります。
もちろファイナルセットまでいって負けるよりはいいわけですが、そうならないような試合運びをすることが大切になります。
そのためには技術力というよりは、精神力の世界ではないか?と思うのです。
ズべレフやティエム、チチパスなどの若手が台頭してきていますので、年齢的な焦りを感じていたりもするのでしょうか?(本人は割と飄々としているタイプには見えますが(笑))
まとめ
最近は、全盛期を過ぎたと言われていたフェデラーやナダルの復活や、故障明けのジョコビッチの見事な活躍があらためてみられます。
一方で、若い世代(ズべレフ、ティエム、チチパス)の活躍もみられます。
そんな中、いつかのタイミングで世代交代がなされると思いますが、それが中間世代の錦織たちの時代になるのかというと少し疑問です。
おそらく次は、ズべレフを筆頭に、もう一つ若い世代の時代が到来するでしょう。
錦織も、はや29歳。(ジョコビッチは31歳)
体力面の不安を払しょくして、今年こそ、マスターズはもちろん、グランドスラムの初制覇を期待しています!
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